【定期テスト】畏饅頭《笑話》 | 教科書本文解説・書き下し文・現代語訳・予想問題

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授業前にひとこと

今回は『畏饅頭』(笑府)について扱っていきます❗️

落語でも出てくるとても面白い話ですね!自分は、オムライスこわいです笑

ちなみに、畏饅頭は…🐻

 笑府(しょうふ)

という明朝のときにできた笑い話集です!

ちなみに、

馮夢竜(ふうむりゅう・ふうぼうりゅう)

という方が編集して作られたものです。

これについては、次の章で詳しく説明します!!

さて、いつも授業前に説明することですが、定期テスト前で時間がない場合は、勉強のポイントを踏まえて、ストーリーを理解することに専念しましょう!

時間がある場合は、ストーリーをイメージして、また早わかり重要ポイントを一つひとつ楽しみながら学習しましょう🐻

そして、AO入試(総合型選抜)・指定校推薦を狙っている学生さんは、こういう人は問答無用でやり切るべし!笑。評定上げるのはマストになってくるので、定期テスト予想問題まで、一つひとつ丁寧にやっていきましょう!!


作品・著者情報

笑府(岩波文庫)より引用

笑府(しょうふ)
笑話集。13巻。明朝末の馮夢竜(ふうむりゅう)の編。原本は清代に中国で失われ、二十世紀に入り日本から伝わった。江戸の小咄や落語に大いに影響を与え、この「畏饅頭」は「饅頭こわい」の話の元になった。


馮夢竜(ふうむりゅう・ふうぼうりゅう)
1574〜1646年。明末の文人。蘇州の人。明代後期の蘇州を中心とする江南地帯では,商業経済の発達による市民階層の台頭が見られ,戯曲,小説など今まで閑視されていた分野を評価する新しい文学運動が起きたが,彼はその運動の中心的人物の一人である。


勉強のポイント

①なぜ、腹をすかせた男が「饅頭がこわい」と言ったのかをおさえる。

②その人を主人が笑い者にしようとしたストーリーを理解する。

③否定・疑問・限定を表す句形、「レバ則」を学ぶ


本文

有貧士、餒甚。

見市有鬻饅頭者。

偽大呼仆地。

主人驚問其故。

曰、「吾性畏饅頭。」

主人因設数十枚于空室中、而閉士于内、冀相困以為一笑。

久之寂如。

乃啓門見、其搏食過半。

詰之則曰、「不知何故。忽不覚畏。」

主人怒叱曰、「汝得無尚有他畏乎。」

曰、「他無。此際只畏苦茶両碗。」


書き下し文

貧士(ひんし)有り、餒(うえ)甚だし。

市(いち)に饅頭を鬻ぐ(ひさぐ)者有るを見る。

偽りて大呼して地に仆る(たふる)。

主人驚きて其の故(ゆえ)を問ふ。

曰はく、「吾が性(せい)饅頭を畏る(おそる)。」と。

主人因りて数十枚を空室中に設け、而して(しこうして)士を内に閉ぢ、相困しめて(あいくるしめて)以て一笑を為さんことを冀ふ(ねがふ)。

之を久しくして寂如たり。

乃ち門を啓きて見れば、其の搏食(はくしょく)半ばを過ぐ。

之を詰れば(なじれば)則ち曰はく、「何れの故かを知らず。忽ち畏るる覚えず。」と。

主人怒り叱して曰はく、「汝尚ほ他に畏るるもの有ること無きを得んや。」と。

曰はく、「他無し。此の際只だ苦茶両碗を畏るるのみ。」と。


現代語訳

貧乏な書生がいて、ひどく腹をすかせていた。

(男は)市場で饅頭を売る者がいるのを目にした。

(すると男は)偽って大声をあげて地面に倒れた。

(店の)主人が驚いてその(=大声をあげて倒れた)理由を尋ねた。

(男は)「私は生まれつき饅頭が怖いのです。」と言った。

主人はそこで数十個(の饅頭)を空き部屋の中に置き、そして男を中に閉じこめ、苦しめて笑いものにしてやろうと思った。

(男を閉じこめて)しばらくたったが(部屋は)ひっそりしている。

そこで出入り口を開けて(部屋の中を)見ると、男が(饅頭を)手づかみで貪り食うこと、半分以上であった。

(主人が)これを問い詰めると、(男は)「どんな理由かわかりません。急に(饅頭が)怖くなくなったのです。」と言った。

主人は怒り(男を)叱りつけて、「おまえはさらに他に怖いものがないわけではないのか(=他に怖いものがあるのか)。」と言った。
(すると男は)「他にありません。今はただお茶二杯が怖いだけです。」と言った。


早わかり重要ポイント

【ピンク】重要な漢字・句法

【オレンジ】指示語が指す内容・省略されている内容など読解に必要なこと

【黄色】プラスアルファの内容(本文には関係ないけど重要なこと)

【1】見

《書き下し》
見る

《訳》
目にした

《重要ポイント》
目に入るという意味で、受動的なニュアンスがある。そこから受身の助動詞としても用いられる

見A」=(返り点とセットで)Aせらる=Aされる

【2】鬻

《書き下し》
鬻ぐ(ひさぐ)

《訳》
売る

《重要ポイント》

慣れない漢字なのでまずインプット!

【3】偽大呼仆地。

《書き下し》
偽りて大呼して地に仆る(たふる)。

《訳》
(すると男は)偽って大声をあげて地面に倒れた。

《重要ポイント》
ここの重要ポイントは二つ!

大呼」=たいこ大声をあげる

」=たふる。=倒れる

【4】吾性畏饅頭。

《書き下し》
吾が性(せい)饅頭を畏る(おそる)

《訳》
私は生まれつき饅頭が怖いのです。

《重要ポイント》
ここは「畏饅頭」のストーリーのポイント!ポイントは二つ❗️

饅頭がこわいと言い、(相手の意地悪をしたい気持ちを利用して)逆に饅頭をもらおうとしている

」=せい生まれつき (例)善説・悪説

【5】主人因設数十枚于空室中

《書き下し》
主人因りて数十枚を空室中に設け

《訳》
主人はそこで数十個(の饅頭)を空き部屋の中に置き

《重要ポイント》
店の主人が意地悪をしようとしているシーン❗️ポイントは三つ!

饅頭がこわいと言った男を苦しめて笑い者にしようとしている(しかし、逆手にとられている笑)

」=よりてそれが原因で(接続詞)
ここでは、男が饅頭を怖がることを原因と捉えている。

」=動作の行われる場所や対象を表す置き字(「」と同じ)

ちなみに「枚」は「」と同じ!つまり数十個ということ❗️

【6】而閉士于内

《書き下し》
而して(しこうして)士を内に閉ぢ

《訳》
そして男を中に閉じこめ

《重要ポイント》
先ほどの「于」使われますね〜❗️ここの重要ポイントは一つ!

」=しこうして(接続詞)=そして
「而」は、順接・逆説どちらにも用いる接続詞。ここは順接で使われている。

【7】冀相困以為一笑

《書き下し》
相困しめて(あいくるしめて)以て一笑を為さんことを冀ふ(ねがふ)

《訳》
苦しめて笑いものにしてやろうと思った

《重要ポイント》
ここの重要ポイントは二つ!

」=もって(手段・材料を示す)=訳さないことが多いが、訳すとしたら「〜を使って」

為一笑」=一笑を為す笑いのネタにする
「一笑」はちょっとした笑いという意味もあるが、ここでは「一つの笑いのネタにする」こと

【8】久之寂如

《書き下し》
之を久しくして寂如たり

《訳》
(男を閉じこめて)しばらくたったが(部屋は)ひっそりしている

《重要ポイント》
ここの重要ポイントは二つ❗️

「久之」=これをひさしくして=しばらくして

「寂如」=せきじょ=静かなさま。ひっそりとしている様子。

【9】詰之則曰

《書き下し》
之を詰れば(なじれば)則ち曰はく

《訳》
(主人が)これを問い詰めると、(男は)言った

《重要ポイント》
ここの重要ポイントは一つ!

「則」=すなはち〜すると
「〜レバ則ち」という形をとるため、「レバ則」と呼ばれる。

【10】不知何故

《書き下し》
何れの故かを知らず

《訳》
どんな理由かわかりません

《重要ポイント》
男がとぼけるシーン🐻ここの重要ポイントは二つ❗️

否定「不A」=Aせず=Aしない

疑問】「何レノ+A」=いづれのA=どのような(どの)Aか

【11】忽不覚畏

《書き下し》
忽ち畏るる覚えず

《訳》
急に(饅頭が)怖くなくなったのです。

《重要ポイント》
先ほどの否定の句形が登場してますね❗️それを除けば、ここの重要ポイントは一つ!

」=たちまち急に
心理的な意味での突然さをいう語。

【12】汝得無尚有他畏乎。

《書き下し》
汝尚ほ他に畏るるもの有ること無きを得んや。

《訳》
おまえはさらに他に怖いものがないわけではないのか(=他に怖いものがあるのか)。

《重要ポイント》
ここの重要ポイントは三つ!否定詞が混じった疑問文。

」=なんじおまえ・きみ
二人称の代名詞。「なんじ」と読む漢字は他に「女・若・爾」などもある❗️

」=なほさらに。それでもまだ。(副詞)

【疑問】「A乎」=Aなるか=Aであるか「連体形+カ」の形で結ぶ。

【13】此際只畏苦茶両碗

《書き下し》
此の際只だ苦茶両腕を畏るるのみ

《訳》
今はただお茶二杯が怖いだけです

《重要ポイント》
この作品の面白さが詰まっているところ❗️

重要ポイントは三つ!

困らせてやろう」というイジワルな心を利用して、欲しいものを手に入れようとしている!この話のオチ🐻

「此際」=このさい=今。この時。
「際」=時勢の巡り合わせ、まさにこの瞬間であることを言う。

【限定】「只A」=ただAするのみ=ただAするだけだ。
ちなみに限定の終尾詞「耳・而已・爾」を伴う場合もある❗️


定期テスト予想問題

【第一問・教科書問題】

「主人驚問其故。」とあるが「主人」とは誰を指すか?

【解答のポイント】
「貧乏な男が腹が減っていて、饅頭を売っている人を見つけて、大声を出しながら倒れた。」という、そこまでの話の流れが分かっていれば簡単❗️

【解答例】
饅頭を売る店の主人

【第二問・教科書問題】

主人が「設数十枚于空室中、而閉士于内」という行動をとったのはなぜか?

【解答のポイント】
この文の次に、「冀相困以為一笑」と書いてあることをおさえる🐻困らせることで、ひと笑いのネタにしてやろうと書いてますね〜!!あとは「枚」が「個」を表すことをおさえれば、簡単❗️

【解答例】
「生まれつき饅頭が怖い」と言っている男を、饅頭をたくさん置いた部屋に閉じ込めて怖がらせ、笑いものにしようと考えたから。


これで全て終了です❗️

「畏饅頭」おつかれさまでした🐻

二人ともどっこいどっこいで、面白いお話でしたね!!

貧乏な男の方は、嘘ついて饅頭を手に入れるけど、さらに同じ手を使ってお茶を手に入れようとするし🐻

店主の方は困らせようとして嘘に騙されて自業自得だけど、またさらに困らせて仕返ししようと怖いものを聞いてるしね💦

ある意味名勝負ですね(笑)

⓪授業前にひとこと、でも話しましたが、定期テスト前で時間がない場合は、まずはストーリーの理解、そして早わかり重要ポイントのピンク・オレンジの重要暗記だけで十分❗️

ただAO入試・指定校推薦を狙っている方は、ガッツリ向き合って評定を確保していきましょう!!

最後まで見てくださってありがとうございました🐻

またお会いしましょう!定期テストがんばれ〜🐻

じゃあね〜、バイバイ!!

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