【定期テスト対策】ホンモノのおカネの作り方《岩井克人》 | 教科書本文解説・重要ポイント・予想問題(現代文)

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⓪授業前にひとこと

みなさんお金好きですか??笑
多分嫌いな人はいないですよね🐻

生活する中でたくさんの場面でお金を使う機会ってありますよね?
でも、支払い方ってさまざまですね❗️

・現金
・クレジットカード
・Suica
・商品券
・図書カード
・PayPay

など、いろんなおカネの『代わり』になるものがあります🐻

今回の「ホンモノのおカネの作り方」では、そもそもお金って何?どうしてこんなにもお金っぽいものがあるの?ということについて学べます!現代文をしながら、お金の本質に迫れるなんて、一石二鳥です❗️

しかも日本史や政治経済を専攻する学生さんにとっては、貨幣経済史という分野で学ぶので、一石三鳥です笑

社会人になると、こういったお金の勉強をしてるかしてないかで、仕事の質が変わってくるので、ぜひ今のうちから勉強しておきましょう❗️

ホンモノのおカネの作り方
怪しいタイトルですが…、最高に面白いです🐻


①本文

高等学校現代文B(三省堂)より引用

②著者情報

毎日新聞より引用

岩井 克人(いわいかつひと)
1947年〜。経済学者。東京都の生まれ。専門は理論経済学。資本主義の持つ根源的な問題を研究し、文明批評の著作も多い。著書に『不均衡動学の理論』『貨幣論』『二十一世紀の資本主義論』『経済学の宇宙』などがある。本文は、『ヴェニスの商人の資本論』(1992)によった。


③勉強のポイント

①おカネの本質を理解し、おカネの代わりが本物のおカネになる逆説を読み取る。

②ニセガネ作りや預かり手形などの具体例が、本質的な原理や抽象的概念につながっていく論理展開を踏まえて、「ホンモノのおカネ」はどのようにできているかという主題を捉える


④作品をざっくり理解しよう

ホンモノのおカネを作る極意は、ホンモノのおカネに似せておカネを作るというニセガネ作りのことではなく、本来のホンモノのおカネにとって代わってしまうという「逆説」を活用することである。

だが、そのためには大きな資力による信用と厳重な金蔵がなくてはならない。


⑤漢字・重要語句

第一段落

【1】極意

《意味》
その道を極めた人が得られる、最も大切な奥深い意味や秘訣

【2】至極

《意味》
ここでは、きわめて、非常に、という意味

【3】時代を遡って(さかのぼって)

《意味》
時代を昔の方向へたどって・戻って

【4】燦然と輝いていた

《意味》
「燦然」=キラキラと美しく輝くさま。
つまり、金銀小判がホンモノのおカネとしてキラキラと美しく光っていた、ということ。


第二段落

【5】幕末

《意味》
江戸幕府(1603~1867年)の末期。

【6】勤王派

《意味》
江戸末期、幕府を倒し、天皇親政を実現しようとした一派。

【7】佐土原藩

《意味》
現在の宮崎県佐土原町に藩庁を置いていた、薩摩藩の支藩(=本家から分かれた者が藩主となっている藩)
▷似たような言葉:本社・支社

【8】討幕

《意味》
幕府を攻めて討つこと。

【9】資金

《意味》
ここでは、討幕のために必要なお金のこと。

【10】二分判金

《意味》
一両の二分の一の価値を持つ金貨。

宝スタンプコインより引用

【11】丁銀

《意味》
不規則な楕円形をした銀貨。重さがまちまちで量って使われた。

毎日新聞より引用

【12】一分銀

《意味》
一両の四分の一の価値を持つ長方形の銀貨。

古銭の森より引用

【13】下金(したがね)

《意味》
細工の材料として使う金属。地金 (じがね)
ここでは、丁銀あるいは一分銀をニセガネの材料にしたということ。

【14】合金

《意味》
ある金属に他の金属、あるいは非金属を混ぜ合わせて作った金属。
(例)ステンレス:鉄とクロム

【15】鋳型(いがた)

《意味》
鋳物を作るために溶かした金属を流し込むための型。

ギモン雑学より引用

【16】極印(ごくいん)

《意味》
江戸時代に、品質証明のために金貨銀貨に押した印。

【17】硼砂(ほうしゃ)

《意味》
ホウ酸ナトリウムの結晶。ガラスの減量や金属加工のさいの発色材として使用する。

【18】煎る(いる)

《意味》
材料を火にかけて、動かしながら水気が少なくなるまで熱する。

【19】坩堝(るつぼ)

《意味》
金属を溶かしたり、合金を作ったりするのに使う、磁気や粘土で作った容器。

語源由来辞典より引用

【20】山吹色

《意味》
一般に、バラ科 ヤマブキ の花のような赤みを帯びた黄色を表す伝統色名。 平安時代から使われてきた。 古くは黄色を表す言葉であり、また大判、小判など金の色を山吹色とも表現する。

こんな感じの色

【21】精巧に

《意味》
つくりや細工などがきめ細かく上手に。

【22】維新

《意味》
ここでは、明治維新の略。

【23】偽造

《意味》
ホンモノに似せてニセモノを作ること。

【24】詮索

《意味》
細かいことまで知ろうとしたり、とやかく言い立てたりすること。

【25】あたかもホンモノの金銀に見えるように細工

《意味》
あたかも〜のように」=まるで〜のように
細工」=ここでは、人目をごまかそうとして施した工夫。
つまり、まるでホンモノの金銀に見えるように、人目をごまかそうとして工夫がされた、ということ。


第三段落

【26】天王寺屋や鴻池屋

《意味》
江戸時代初期の大阪で栄えた豪商(=めざましい近世日本の経済発展の中で巨万の富を蓄えた大商人)。天王寺屋は手形の創案者と言われる。

【27】商取引に併用されていた

《意味》
商取引」=商品が生産者から消費者の手に渡るまでの過程には,商品の物的な流通と所有権の移転があり,その所有権の移転の際に行われる取引を商取引という。
併用」=いくつかのものを一緒に使うこと
ここでは、商品を売り手から買い手に渡す際に金貨や銀貨がセットで使われていた、ということ。

【28】小口

《意味》
金額や数量の少ない部類のこと。

【29】相場

《意味》
その時々の値段。需要と供給によって値段は変化する。

【30】資力

《意味》
資本を出す力。資本とは、一般的には事業活動を行うための元手となる資金のことを意味する。

【31】金蔵(かねぐら)

《意味》
お金や財宝を保管する蔵のこと。

【32】預り手形

《意味》
金貨や銀貨を預かったことを保証する証文。昔、印章(=印鑑の正式名称)の代わりに文書に手形を押したことに由来する。

【33】匁(もんめ)

《意味》
重さの単位。一匁は3.75gであり、銀六十匁が一両をさす。

【34】右の通りたしかに受け取り申し候、この手形をもって相渡し申すべく候

《意味》
右の通り確かに受け取りました、この手形と引き換えで(金貨・銀貨を)お渡しします。という意味。証明書の役割をしていて、金貨銀貨いくらを預けているのかが記載されている。

オークファンより引用

【35】短冊形

《意味》
細長い長方形の形のこと。上の画像をイメージしてね🐻

【36】変貌

《意味》
ここでは、(ニセガネがホンモノのおカネに)変わってしまうことを指す。

【37】あたかもそれ自身が借金の支払い手段であるかのように

《意味》
(預り手形が)ちょうど借金の支払い手段であるかのように。つまり、借金の支払いを金貨銀貨でする代わりに、この預り手形ですることもあったということ。

【38】逆説

《意味》
表現の上では矛盾しているように見えて、実は一面の真理を表す表現法。
(例)急がば回れ:急いでる時ほど安全な遠回りをせよ
ここでは、本来ホンモノのおカネの「代わり」であったものが、ホンモノのおカネになり、実際の金貨銀貨よりも商取引で使用されていたということ。

【39】究極的に

《意味》
物事を最後まで押し進めたところのとどのつまり。
ここでは、ホンモノのおカネの「代わり」として使っていた預り手形が、社会に広まり、最終的に預り手形が実際の(ホンモノの)支払い手段として機能し始めた、ということ!


第四段落

【40】太古

《意味》
大昔。

【41】装身具

《意味》
飾りのために体や衣服につけるもの。

天満屋より引用

【42】祭礼器具

《意味》
祭りや祭りの儀式などで使う器具。

浅間神社より引用

【43】用途

《意味》
物やお金の使い道。

【44】交易

《意味》
物の売買や交換をすること。

【45】表示された価値そのものの担い手として

《意味》
ここでは、金貨銀貨が、実際の内容量に関わりなく、表示された価値を引き受けることを指す。

【46】その末裔としての銀行券

《意味》
金貨銀貨の引き換え証書に過ぎなかった両替屋の預り手形が、さらに時代が進み、役割を引き継いだもの(=子孫)としての銀行券。という意味。

【47】小切手やクレジットカード

《意味》
小切手」=現金の代わりに用いる有価証券
クレジットカード」=信用によって一時的に立て替えてもらえる会員証
今では、銀行券つまり紙幣に変わり、小切手やクレジットカードがホンモノのおカネの「代わり」をしているということ❗️

起業ログより引用

(補足)ちなみに今では、QRコード支払い、仮想通貨・暗号通貨など、さらなるホンモノのおカネの「代わり」が誕生し始めている🐻面白いね!

paypayより引用

【48】ホンモノの形而上学

《意味》
形而上学」=事物の本質・存在といった根本原理を研究する学問
つまり、ニセガネ作りたちが信じたホンモノを追求した考え方のことを指していて、その考え方とは、ホンモノのおカネを「似せ」たものを作ることで、ホンモノのおカネと同一の価値が得られるという考え。

【49】権威

《意味》
権威」=すぐれた者として、他人を威圧して自分に従わせる威力。また、万人が認めて従わなければならないような価値の力
ここでは、ホンモノの金銀は万人が認めて従わなければならないような価値の力がある、ということ

【50】かどで

《意味》
理由で

【51】ハリツケ獄門の刑

《意味》
明治時代初期までの重罪人に対する刑で、罪人を板や柱などに縛り付け、槍などを用いて殺したり、斬首の後でさらし首にしたりした刑。

【52】似ても似つかない

《意味》
少しも似ていない。


第五段落

【53】見向きもしてくれない

《意味》
そちらの方を見ない。関心を示さない。無視する。
ここでは、ホンモノのおカネの「代わり」がホンモノのおカネそのものになってしまうという逆説が生まれる可能性がない、ということ。」

【54】陰鬱

《意味》
うっとうしく晴れ晴れしない様子。


⑥段落要約

①第一段落

ホンモノのおカネの作り方の極意はすごく簡単で、ニセガネを作らないようにすることである。ニセガネを作らないようにするには、ホンモノのおカネに似せようとしないことである。

②第二段落

幕末の頃、勤王派の佐土原藩が作った二分半金はニセの金貨としては最も精巧に作られたものであった。ニセガネとはホンモノの金銀ではないものをできる限りホンモノに似せようとしたもののことであり、まさにその意味でニセガネ「似せ」ガネである。

③第三段落

江戸時代の両替屋は人々の財産の保管も行い、預金者に対して「預り手形」を発行したが、この「預り手形」は、いつでも引き換えられる金貨銀貨の「代わり」として、それ自身が支払い手段であるかのように用いられるようになる。「預り手形」は、次第に実際の支払い手段として流通し、ホンモノのおカネになってしまう。

④第四段落

現在では、小切手やクレジットカードが、実際の銀行券の代わりとして流通し始めているように、ホンモノのおカネの「代わり」がホンモノになってしまうという逆説の作用が、太古から現在までホンモノのおカネに似せようとしても、それは決してホンモノになることはできないので、ホンモノのおカネに似せるのではなく、ホンモノのおカネに代わってしまうことが、ホンモノのおカネを作る極意である。

⑤第五段落

現実的には、かつての天王寺屋や鴻池屋のように大きな資力と厳重な金蔵のないところには、ホンモノのおカネを作り出す逆説は存在し得ない。


⑦定期テスト予想問題

【漢字問題(本文中)】
1. シゴク当然の結果
2. 豆を
3. セイコウに作られた時計
4. 人の事情をあれこれセンサクする
5. 電気とガスをヘイヨウする
6. キュウキョクの目的
7. 国王のケンイ
8. 交通事故のギセイ
9. インウツな雰囲気

【解答】
1.至極 2.煎 3.精巧 4.詮索 5.併用 6.究極 7.権威 8.犠牲 9.陰鬱


【第一問】
第二段落最後に「その意味でニセガネとは『似せ』ガネなのである」とあるが、それはどういうことか?

【解答のポイント】
その意味で」と書いてあるので、指示語「その」が指す内容を明らかにして、内容をまとめる。ニセガネ=偽金=「似せ」ガネという図式にも注意する❗️

【解答例】
ニセガネとは、ホンモノの金銀でないものをホンモノの金銀に見えるように細工したもののことであり、「偽物」のことである。だが、ホンモノの金銀に見えるように似せたおカネという意味では、「似せ」ガネであると言うこともできるということ。


【第二問】
第三段落中盤に「ここに一つの逆説が作用している」とあるが、ここでの「逆説」とはどういうことか?

【解答のポイント】
先ほど説明したように、「逆説」=表現の上では矛盾しているように見えて、実は一面の真理を表す表現法(例)急がば回れ、という意味であることを理解する。そして指示語「ここに」の内容を把握した上で回答する❗️

【解答例】
本来ホンモノのおカネの「代わり」であったものが、ホンモノのおカネになってしまうということ。


【第三問】
第三段落中盤に「その意味で、この預り手形は、それといつでも引き換えられる金貨銀貨の「代わり」として、あたかもそれ自身が借金の支払い手段であるかのように用いられることになる。」とあるが、「預り手形」が「金貨銀貨の『代わり』」となるのはなぜか?

【解答のポイント】
その意味で」は前文の「実際、この預り手形を〜支払いに帰ることができる」までを指していて、この部分をまとめると簡単に解答が得られる❗️ただ「なぜか?」と理由を聞かれているため、「〜から」と回答の仕方に気を付ける!

【解答例】
「預り手形」を両替屋に持っていけばその額の金貨や銀貨を受け取ることができるので、金貨銀貨を直接渡す代わりとして「預り手形」を自分の借金の支払いに代えることができる。そしてそれを受け取った人も今度はそれを使って自分の借金の支払いに代えることができるから。


【第四問】
第四段落中盤に、ニセガネ作りたちが「ホンモノの形而上学の哀れな犠牲者」と書かれているが、それはなぜか?

【解答のポイント】
「語句確認でもしたように、ホンモノのおカネがホンモノであるのは、それがホンモノの金銀からできているからであるという『ホンモノの形而上学』にまず着目する。そして『哀れな犠牲者』が表すのは、ニセガネ作りがその考え方にこだわり過ぎた故に、法の裁きを受けることになってしまう、という流れをまとめる🐻

【解答例】
ニセガネ作りたちは、いかにしてホンモノそっくりのおカネを作るかという「ホンモノの形而上学」にこだわったが、いかに似せてもニセモノである以上、ホンモノになることはできないので、結局は発覚してハリツケ獄門の刑に処せられることになるから。


【第五問】
第五段落に、「天王寺屋や鴻池屋ほどの大きな視力も厳重な金蔵もないところには、ホンモノのおカネを作り出すあの逆説は見向きもしてくれない」と書かれているが、それはなぜか?

【解答のポイント】
大きな資力も厳重な金蔵もないところには、人は不安を抱き、信用してくれない、つまりホンモノのおカネを作り出すには信用と安心(=安全性)が必要になるということ❗️

【解答例】
大きな資力や厳重な金蔵がなければ、人は安心しておカネを預けることができないし、「預り手形」があっても、いつ紙切れになってしまうかもしれないという不安がつきまとうので、すぐにホンモノのおカネに替えてしまう。このように、人に信用と安心(=安全性)を与えるためには、大きな資力と厳重な金蔵が必要であるから。


ホンモノのおカネの作り方は、お金の歴史に触れることができて、またお金の本質に迫ることができて、とても面白いですよね🐻

特に日本史選択・政治経済選択の方は、こういった貨幣経済史について詳しく習うこともあると思うので、ぜひ覚えておきましょう❗️

最後まで見てくださってありがとうございました🐻
定期テストがんばれ〜🐻

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