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①本文
②著者情報
松田 青子(まつだあおこ)
1979年〜。小説家・翻訳家。兵庫県の生まれ。話し言葉の調子を生かし、日常に寄り添いながらもそれらを深く捉え直す視点を含んだ作品を発表している。作品に「スタッキング可能」「英子の森」などがある。本文は「文藝」(2015年夏季号)によった。
③漢字・重要語句
【1】少年という名前のメカ
《意味》
本文では、少年は人間ではなく機会であるという前提で物語が始まっている。
【2】記憶装置
《意味》
少年の行動は、メカの記憶装置にインプットされたもので、人間のように自分で思考し、行動はしない。
【3】だから少年は旅に出る
《意味》
少年の意志ではない。
【4】少年と名付けられてはいるが、〜はっきりしない
《意味》
「少年」の存在の前提を説明している。
【5】暖炉
《意味》
暖炉は、薪などを燃やし、煙を煙突で排出する暖房用設備。ヨーロッパで、12世紀以後発展したもの。日本では、火鉢などが使われていた。一般家庭で暖炉が使用されていることから、場面設定は外国。この物語は、少年、村、老夫婦の名も明らかにしないことで、小説の虚構性を効果的にしている。暖炉の様子は、この後も場面展開に効果的に描写されている。
【6】橙色の炎
《意味》
暖炉が燃えている様子が、橙色という言葉で穏やかに表現されている。暖炉の脇の団欒に少年は加えてもらっているということ。
【7】白い髭
《意味》
主が老人であることを示す。
【8】機械的に
《意味》
少年はメカなので、スープを味わって飲むということはない。
【9】その瞬間、〜変わる
《意味》
「僕の名前は少年です」という少年の一言で、岡見さんと主の様子がガラッと変わることに注意する。おかみさんは、顔を硬直させ、ガタンと音をたてて椅子から立ち上がり、後ずさる。主はパイプを落とし、ワナワナと怒りに震え、今すぐこの家を出ていってくれ、少年なんて大嫌いだと言い、おかみさんは涙を拭っている。
【10】はぜる
《意味》
割れて飛び散ること。
本文では、暖炉の炎がはぜる様子は、主とおかみさんの胸の内に共鳴したもので、場面を効果的に描写している。
【11】ぽかんとした顔
《意味》
少年は、おかみさんんと主の様子の変化の意味を捉えることができていない。
【12】「少年じゃと。〜悪いんじゃ」
《意味》
主の口から語られる少年像。少年だと言って現れ、好きに食べ、無邪気に振る舞い、散々幸せな気持ちにさせておきながら、ある日目の前から消え、音沙汰がなくなってしまう。少年と幸せな時間を過ごした分、年々寂しさが身に染みるようになる。
【13】音沙汰
《意味》
たより。連絡。
【14】老いた男の頬を〜響く。
《意味》
老夫婦は少年の思い出を語りながら、涙を流している。そこにあるのは寂しさだろうか。
【15】「ぼくは、決してしません」
《意味》
少年は、老夫婦を悲しませたこれまでの少年のように、あなた方を傷つけたりはしないという。
【16】「たしかにこの子、〜こなかった」
《意味》
おかみさんは、これまでの少年と、目の前にいる少年の違いに気づく。これまでの少年は、母性にアピールしてきたのである。
【17】「たしかに、〜しないしな」
《意味》
主も、これまでの少年と、目の前にいる少年の違いを確認する。これまでの少年は、少年特有のまっすぐな眼差しで見つめてきたのである。
【18】「ぼくに任せてください」
《意味》
少年は、「何を任せてくれ」と言ったのか。これまでの少年は、老夫婦を夢中にさせた上で、悲しませ、傷つけた。少年は、「あなた方を築けるようなことは決してしません」と言っている。
【19】台所へ歩み去る
《意味》
少年は自ら食器を台所へ片付けている。
【20】その後ろ姿を見た〜見合わせた
《意味》
これまでの少年は、台所に自ら向かうなどということはなく、世話をされるだけだった。主と岡見さんはこの少年が自ら自分の世話をすることに驚いている。
【21】少年と老夫婦の共同生活
《意味》
小片は、老夫婦の心を掻き乱すことなく、適度なバランスで振る舞った。
【22】何より、出ていかないということが大切
《意味》
これまでの少年は、老夫婦を喜ばせておきながら出ていき、老夫婦を大変傷つけた。老夫婦にとっては、少年が「出ていく」ことが、一番傷つけられることだったのである。
【23】何年か経った頃
《意味》
少年が老夫婦と共同生活をしてから、何年もの月にが経過したことがわかる。
【24】穏やかな表情
《意味》
老夫婦が落ち着いてやさしい気持ちでいることがわかる。
【25】「おまえさんのおかげで、〜安心しておくれ」
《意味》
少年のおかげで、これまでの少年に傷付けられて生きたイメージを払拭し、少年から負わされた悲しみが癒えたのである。
【26】少年の意図するところ
《意味》
少年が老夫婦を抱きしめ返さなかったのは、老夫婦を悲しませないようにするため。
【27】老夫婦に絵葉書
《意味》
最初の老夫婦は、これまで出会った少年が去ってから、絵葉書ひとつよこしたためしがないことを嘆いていた。
【28】悲しそうな目をした少女
《意味》
戦争をしている村で出会った少女が嘆くのは、戦争のことではなく「少年」のことだった。
【29】「気がついたら、〜疲れちゃった」
《意味》
少女の嘆きは、気づくと少年ではなく自分が闘っている、サポートについた自分が怪我をする、自分が少年を守る羽目になる、少年は急に大胆な行動に出るー少年というものは、大胆で迷惑で、しかも根本的に変わらないので周囲を疲れさせる、ということ。
【30】少年は静かに頷いた
《意味》
少年は少女の想いを理解した。
【31】その日から、少年は戦いに参加した
《意味》
少年の戦い方は、そつなく戦闘に参加するものだった。淡々と自分のなすべきことをしたのである。
【32】萎縮
《意味》
勢いや元気がなくなること。
【32】何年か経った頃
《意味》
戦争は何年も続き、少年はその間戦争に参加し、少女に寄り添ったのである。
【33】「あなたのおかげで、〜大丈夫よ」
《意味》
少女は、少年の寄り添い方に納得し、これまでの別の「少年」との関わりから受けた傷から回復したのである。
【34】悪名高き
《意味》
評判が悪い。
【35】手のひらを返す
《意味》
急に態度を変えること。
【36】仕打ち
《意味》
人の扱い方。人への態度。
【37】少年に傷付けられた〜少年という名前のメカ
《意味》
少年という名前のメカの役割と開発意義が、端的にまとめられている。
【38】特許出願中
《意味》
特許は、発明者に一定期間の発明の独占権を与える制度のこと。小説の最後が、この一言で締め括られる効果を考える。特許を出願するのは、少年というメカを開発した技術が、多くの人々に効果的に働いたことを示している。
④段落要約
【1】第一段落
少年という名前のメカが冒険の旅に出て、村の入り口にある一軒家に、一夜の宿を求めた。おかみさんは、暖炉の脇のテーブルに少年を座らせ、少年に温め直したスープを与え、主は名を尋ねた。「ぼくの名前は少年です」、少年が答えると、老夫婦は動揺した。これまでの少年は、無邪気に振る舞い散々幸せな気持ちにさせておきながら、ある日音沙汰なしになってしまう。しかし、この少年は、決して二人を傷つけることはなく、ただ、適度にそこにいる、そしてどこにもいかなかった。
【2】第二段落
最初の村をさった少年は、戦争をしている街にたどり着き、戦闘機らしき乗り物の影に座っている悲しそうな目をした少女に出会い、戦いに参加した。少女は、少年らしくない少年がいることがわかって「もう大丈夫」だと言った。次の日、少年はその街から去った。
【3】第三段落
少年はその街から去り、旅を続けた。どの村でも少年は悪名高き存在だった。少年は、これまでの少年に傷付けられた人々の話に耳を傾け、寄り添い続けた。少年は、「少年に気づく蹴られた人間たちの心のケアのため開発された、少年という名前のメカ」であった。
⑤定期テスト予想問題
【漢字問題(本文中)】
1.シュンカン 2.ツノる 3.ムジャキ 4.シュウライ 5.オトサタがない 6.ホホ 7.オウセイな 8.オダやかな 9.ロテイした 10.イシュク
【解答】
1.瞬間 2.募る 3.無邪気 4.襲来 5.音沙汰がない 6.頬 7.旺盛な 8.穏やかな 9.露呈した 10.萎縮
【第1問】
「今までの少年たちとはちょっと違うよ」とあるが、老夫婦の「今までの少年たち」に対する思いはどんなものであるか?
【解答のポイント】
「今までの少年たち」が老夫婦の心をどんな点でどのように掻き乱してしまったか、まとめる。
【解答例】
今までの少年たちは、旺盛な食欲で、母性にアピールしてきたり、少年特有のまっすぐな眼差しで見つめてきたりして、散々幸せな気持ちにさせておきながらいなくなってしまうので、老夫婦は少年によって悲しませられ、傷付けられたと思っている。
【第2問】
「少年は細心の注意を払い、全てを適度なバランスに保った。」とあるが、老夫婦との共同生活の中で少年はどのように振る舞ったのか。
【解答のポイント】
少年らしい瞬間を決して作らないことで、少年は老夫婦の心を掻き乱さないようにした。その具体例をまとめていく。
【解答例】
少年は、器用でも不器用でもなく、振動でも問題児でもなく、選ばれし者でもなく、老夫婦に心も開かず、孤独な胸の内を明かしたりもせず、少年はただ、適度にそこにいた。
【第3問】
「少年らしくない少年がいることがわかったわ」とあるが、少女のいう「少年らしくない少年」とはどのようなものか。箇条書きにまとめよ
【解答のポイント】
少女のいう「少年らしい少年」は少女の台詞の中に描写されている。そして「少年らしくない少年」はそういった態度を示さない。「少年らしくない少年」の態度の描写は、少女の台詞以降に示してあるので、それを箇条書きでまとめる。
【解答例】
・どんな無茶な行動も取らず、奇抜なアイデアも思いつかない少年。
・そつなく先頭に参加し、決して英雄的な行為はしない少年。
・誰にも迷惑をかけず、誰にも助けてもらわない少年。
独特な読み口の文章で面白かったですね!!
最後まで見てくださってありがとうございました🐻
定期テストがんばれ〜🐻
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